2022年5月にリリースされた「Refeeld - Serenity」は、Interspersed Recordsを代表する曲となった。Serenityとはどのような曲なのか、Refeeld本人に伺う。聞き手はInterspersed Recordsスタッフ。

Interspersed Records
とりあえず時期的に。まだ非公開ですが、新EPのリリース決定おめでとうございます。おつかれさまでした。

Refeeld
ありがとうございます。

Interspersed Records
今回は過去の作品ではありますが、2022年5月中旬にリリースされたRefeeld - Serenity」についてお話伺えればと思います。

実はこの作品、Interspersed Records内でリリース準備を進めている間はSerene Place」というタイトルでリリースする予定だったものを、直前でSerenity」に変更した経緯がありましたよね。特定の場所をテーマにした楽曲だったかと思うのですが。

Refeeld
Serenityにはテーマとなる場所がありまして。福島県にある白河市という場所です。友人が住んでいて、地元である東京から頻繁に新幹線で遊びに行ってるんです。

僕にとっては全然縁もゆかりもない地元でもない場所なんですが、行く度に落ち着いた、平穏な気持ちになれると言うか。またそれと同時に、やっぱり感情的な部分を抜きにして本当に静かなんですよね。東京より。だから最初は「Serene Place」と。場所にフォーカスしたタイトルでした。

Interspersed Records
「静かな場所」というだけでなくて、感情的な意味合いも含んでいると。

Refeeld
「静けさ」には「落ち着いている」という意味も含まれるなあと思っていて、Placeだとどうしても場所にフォーカスしすぎちゃうから、あえて曖昧に "静けさ" だけにして、それってどういう意味なんだろうというのをアートワークやトラックから聞き手が汲み取ってくれればなっていう。

Interspersed Records
当初から含まれていたニュアンスをさらに協調するためにトラック名を変えたわけですね。 どうでしょう、地元である東京は落ち着かない場所なんですかね?

Refeeld
それでいうと、なんか「落ち着く」にも色々あると思うし。地元にはやはり安心感があって。ただその安心感にはどこか空虚さもあって。何かそこに苛立ちを覚えるようなっていうか。

何だろうな。その、何の変哲もない日常を過ごしていく中で、何か変化やイベントが欲しいっていう心のもどかしさがあって、これはむしろ地元でなければ生まれない感情だなと思っています。 それこそ白河市だって最初は色々な発見もあるし、むしろ落ち着かない場所だった。だけど、何回も行く内に人は慣れていくし。なんていうか "新鮮な落ち着き" があるというか。

Interspersed Records
新鮮な落ち着き。

Refeeld
地元だと「いつもと変わらない。じゃあ何かしよう」ってなるけど、そういう場所に行くと「いつもと変わらない。変わらないからいいよな」で終われる。

Interspersed Records
なるほど。普段の生活とは異なる落ち着きを味わうことができるといいますか。日常から離れて、というのが重要なんですね。

Refeeld
そういう特別感がこの曲にはあると思う。

Interspersed Records
実際に一部のサイトへ掲載頂いている本作の作品情報を読みますと、

街の喧騒から離れ、遠方へ征く。そこはゆっくりと時が流れつつも、これから起こるかけがえない経験を期待させるような、鮮烈な空気に満ち溢れていた。Refeeldによる新作「Serenity」は、日本的初夏の空気を彷彿とさせるエモーショナルなチルビーツトラックである。

いう風になっていて、まさにそう書いてありますね。


Interspersed Records
この曲は前リリースであるRefeeld - Raindrops」と対になるトラックである、と以前伺いました。

Refeeld
実はこの曲は、曲の構成や進行はRaindropsと意図的に似せてる部分があって。一方で、RaindropsとSerenityは対照的な曲だとも思っています。

Raindropsのアートワークには、水たまりに映った縁日の風景が描かれてますよね。あれって空想上のもので、実在しないんです。過去この場所での出来事、過去に人々が作り上げてきたもの。今はない。っていうの表してるんです。 対しSerenityは、これから起こることに対しての期待感が描かれてます。 そういうところで、前向きなエモと後ろ向きなエモ。地元と白河。みたいな。

Interspersed Records
懐古的な感情が描かれたRaindropsと、未来への期待が描かれたSerenity。

雨の中に浮かぶ幻覚は、いつの日か訪れた縁日を想起させる。何十年にも渡る人々の営みや想いが、一歩踏み出すごとに蘇る。Refeeldによる新作「Raindrops」は、どこか日本人の心を揺さぶるウェットなチルビーツトラックとなっている。

Refeeld
メロディアスなピアノと、ハット、キック、スネアをメインにしたパーカッションと。この2曲はインストゥルメントから似ている部分が多い。キーも似せてます。ピアノはコードを鳴らしながらメロディを乗せていますし。

この2曲はベースラインも非常に似ている。前者はSerenityのもの。後者はRaindropsのもの。


Interspersed Records
Serenityにおいてのメインテーマ、ルフランは序盤に1回、終盤にもう1回使用されるわけですが、後者では笛の音が追加されますよね。

Refeeld
ブリッジから流してるフルートの音かな。これは言ってしまえば日本っぽい雰囲気を表現として足していて。 Serenityの舞台は白河なんで、日本的な空気感を作ろうと。

Interspersed Records
フルートを使っているけど、日本古来からある笛のイメージであると。

Refeeld
これは実はパソコンで打ち込んだものじゃなくて、実際に白河で出来た友達に吹いてもらってて。

Interspersed Records
生音なんだ。

Refeeld
このSerenityの裏で鳴らしている雨音と虫の声も実際に白河でフィールドレコードしてて。真夜中にコンデンサマイクを宿泊先のベランダに置いて5分とか10分ぐらい録り続けた。そこからサンプルしてるんですね。聴いてみればわかるとおり、すごい静かな場所。実際の白河の空気がこの曲には入っている。

Serenityは実際に白河に居る間にほとんど作業してて。僕は適当にピアノ弾いて思いついたフレーズとか進行から作っていくスタイルなんですけど、それも白河に滞在中思いついたものです。

Interspersed Records
ちなみに最初は入っていなかったフルートの音を2回目には入れているのって、何か意味あるんですかね。

Refeeld
これに関しては僕がやりがちな手法で、僕の曲は後半に向かうにつれてどんどん盛り上がっていくのが基本ではあるんだけど。Serenityで言えば、未来に対する期待や想像を膨らませていくっていうのを「パートを重ねていく」という形で表現されているところかな。だから最初の方はあんまりパート多くないし。

Interspersed Records
普通に聴いてるとフルートくらいしか気づけないけど、他にも何か重ねている?

Refeeld
後ろのアンビエンスサウンドはシンセサイザーにリバーブを掛けたりとか。フルートが入ったあたりから聴いていくと、徐々に後ろでギターの音みたいなのが入ってて。これは実際に持っているエレキギターを弾いてリバースしたもの。

Interspersed Records
うわ、気付かないなそれ。曲の雰囲気に対してはエレキギターはミスマッチな気がしたけど、そうではないんですね。

Refeeld
アンビエンスに使う上ではギターの音って結構いいなと思っていて。完全にアコースティックな感じだとつまらないと思うし。僕のエレクトロニックなエッセンスを入れるってなった時どうするかとうと、例えば今回のようにエレキギターの逆再生を乗っけるとか。そういった非アコースティックな部分を織り交ぜていくのが僕の作る曲の中ででは特徴的なところなのかなって思う。Refeeld名義ではかなり使ってる手法のひとつ。


Interspersed Records
本作のアートワークは愛飢えさんに依頼しましたが、この参考画像はRefeeldより提示した写真でした。

Refeeld
これは実際に白河に存在する場所です。小さい川みたいなのが通ってて、その横に歩道があるみたいな。僕が 毎回白河行く度に通る道で、特に好きな場所なんです。アートワークは好きな物を詰めてもらった感じで。この道を通る時はいつも大体夕日だったり暗かったりして、それもアートワークに含めてもらってます。


Interspersed Records
この曲はInterspersed Recordsの中でもかなり人気がある曲のひとつで、特に日本の方に気に入って頂けたなと思ってます。一方で、この曲を海外のレーベルからリリースする選択肢もあったと思うんですが。

Refeeld
なんだろう、なんかこういう曲ってジャンルは同じでもあまり海外の方には受け入れてもらいづらいのではと少なからず感じていて。メロディアスな部分とか。

コラボ曲なんですが、過去にStereofoxいう海外レーベルからリリースしたLook Forward EP」なんかは、元々yuhei miuraさんとKazuki Isogaiさんが海外で人気な方というのはありつつも、ジャジーでテクニカルなギターだったり、ラフなパーカッションは海外ウケが良いだろうなと元々思ってたリリースですね。

Refeeld
Serenityはシンプルな音の出し方をしていて、メロディーにフォーカスしています。口ずさめるキャッチーなフレーズであることを意識してます。 Aspireはエレガントで、大人びた空気感があって。対しSerenityはもっとストレートな美麗さがあって、日本人好みかなと。


Interspersed Records
Lofiというジャンルは何かの作業を補助するような、機能的な音楽でもあると思ってます。Serenityはどういう時に聴くといいんでしょう。

Refeeld
僕が曲を作る時にも機能的な音楽であることもけっこう意識していて、生活の中のどこか物足りないところ、寂しい時にその隙間を埋めてくれるような曲になるといいなと思ってます。音楽聞かずに外歩いてると寂しいじゃないですか。そこに僕の音楽が入ってきて、音楽と視界に入る自然が組み合わさって、これで寂しさが埋められて100%の状態になるような。これはSerenityに限らずRefeeldのサウンドに共通することです。

Interspersed Records
なるほど。本日はありがとうございました。

Refeeld
ありがとうございました。